Easy + Nice レーベルのblog

アンビエント・ダブテクノなどを作る電子音楽家・Wakiによるブログ。 元々は運営している音楽レーベル「Easy + Nice」の情報発信のために立ち上げたものだが、最近は音楽制作全般や日記的なもの、哲学的なものが中心になってきている。

2021年07月

(前回のあらすじ)

Metasynthというソフトを使いたくなったのだが、調べたところMac版しかないことがわかった。

ソフトのメーカーに問い合わせたところ、Win版を作るのは大分先になりそうとのこと。

「古いMacでも動くから、中古のMacで安いのを探してみたら」

と言われた。

SNSでワーワー言ってたら、友人が私に古いMacbook Proを安く譲ってくれることになった。

これでMetasynthを使えるかもしれない…!



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そんな経緯で昨日、じぶんにとっては人生初のMacがうちに届いた。

さっそく高級感あふれる化粧箱を開け、電源を入れる。

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 私はパソコンにも何がしかの人格のようなものがあると思っていて、今持っている他の2台のパソコンに、それぞれ性格というか擬人化したキャラクターのようなものを感じている(ちなみに全て中古)。


先代の古いHPは好々爺のようで、動作は遅いけど、触っていてどこか落ち着くような、ほんわかとした穏やかな雰囲気。


「そうさのう…(赤毛のアンのマシュー)」みたいな。


その後買った LenovoのThinkpadは、ヤンキー上がりの若い兄ちゃんみたいな感じで、チャキチャキとしていて短気で仕事がはやい。

「あ、それ俺ぜんぜんやれるっすよ。任してくださいよ!」 

という感じで、自信過剰で頼もしいけど、無理な時はあっさり無理になる。 


そんなわけで、うちのオフィスに新しく入ってくる新人のMacに、自分がどんな人格を感じるのか非常に興味があった。 


電源を入れ、初期的な設定をする。

 
ん?


何というか、意外ともっさりしている…。


自分がMacに対して勝手に抱いていた、都会的でスマートなイメージとちょっと違う。
 

ちょっとピントのずれた、ぼーっとしたお嬢さんという感じ。


下町の工場に、なんか世間ずれしてない、いいとこのお嬢が入ってきちゃったよ!というか…。
 

うちは給料も安いし、オシャレなオフィスもないよ。いいのかい?


決して仕事が出来ないわけじゃないが、パキパキしたうちの現場にいると、何となく間が抜けたみたいに感じられる。


何でかな〜?


やっぱりWinの方が、動作が直線的というのか…。Macは動作がぬるっとしているというか、曲線的な感じがする。

そのあたりが何かもさっとして感じられる理由か。


Winは左脳的というか、目的に対してまっすぐ向かっていく感じ。

「あれをやろう」

と思ったら、脇目も振らずまっすぐそこに向かっていく。


Macはなんか動作にいちいちタメがあって、そこにある種のリズム感があるというか。

多分Macの好きな人は、このリズム感のファンなんじゃないかな〜。


「あれをやろう」


と思って、操作を開始したのに、いつの間にか別のことをしていて、でもそれが心地いい時間でもあるというような…。


そういった回り道のような、道草のような、それ自体が生きることの全体でもあるような、そういう豊かさのような。


 正直、スペックだけでいうとうちのLenovoとそんなに変わらないと思うし、「目的を遂行する」という意味ではもしかしたらLenovoの方が自分にとっては有効かもしれない。


でも、Macには何か茶飲み友達のような、人生に対する余裕のようなものがある。


 別に急ぐことは何もないんだよ、まあゆっくりうちで遊んでいきなよ、

そんなふうに言われているような気がする。


自分はわりとせっかちな方だと思う。


何か思いついたら、左脳的に処理してすぐ終わらせようとしてしまいがちだ。


でもそうでない、クリエイティブなあり方の可能性みたいなものを感じた。


もっと可塑的な、緩やかな態度。


もしかしたら、うちの工場はお嬢のせいでちょっとだけ上品になるかもしれない。



 ※ちなみにMetasynthのデモを落として試してみたが、制限が鬼畜すぎた。何と8秒ごとに音が止まる!これでは評価は難しいよ。もうちょっと制限をゆるくしてもらわないとな〜。

※後註:その後思い切ってMetaSynthの製品版を手に入れた。 

「エコスフィア」というジャンルがあるのを最近知った。

といってもこれは音楽のジャンルではなくて、水槽で生き物を飼うやり方のひとつである。


通常、水槽飼育といえば、ポンプ、定期的な水替え、サーモスタット、強力な外部フィルター、LED照明などの装置を使って、なんとか水質を健全に保ち、特定の生き物を飼育しようとするものである。

しかしエコスフィアではそういったテクノロジーを全く用いず、そのへんの沼や川などで水・土や水草などを取ってきて広口瓶に入れておくだけ。



しばらくすると水が澄んできて、そこにもともといた微小な生き物たちが顔を出す。

ミジンコ、ミミズ、プラナリア、虫の幼生、ヒドラ、巻貝…


これらの多様な生き物たちを、広口瓶の中で、なんのメンテナンスもなしに飼い続ける。

餌もあげないし水替えもしない。瓶のふたは閉じたままで、エアレーションもしない。


ふつうに考えるとすぐに生き物たちは死んでしまいそうなものだが、これが意外に長い間生態系が維持されるのである。

もちろん、種によって栄枯盛衰があるし、ある種が優性になったり滅んでしまう場合もあるのだが、全体としては何らかの生き物が生き続ける。


それというのも、瓶の中には水草があって、これが酸素や食べ物を供給する。生き物の排せつ物や死骸を土中の微生物が分解し、栄養素になる。

つまり、このせまい閉鎖系の中で、炭素の循環が起こっているのである。


自分にとっては、この「手間がかからない」生き物の飼育はすごく魅力的に感じられる。


子供の頃、さんざんいろんな生き物を捕まえてきては飼って、無精ゆえに死なせてしまった経験があるので、ある時期から自分ではもう生き物を飼うのはやめようと思っている。

生き物を飼うにはそれなりの技術や知識・手間が必要だし、そうでないと可哀そうなことになる。


「エコスフィア」のいいところは、ほとんど放ったらかしですむところだ。何しろ立ち上げたら蓋を閉めっぱなしでいいんだから。

立ち上げると言っても、取ってきたものをただ入れておくだけ。

それでもまあたぶん自分ではやらないと思うけど。動画を見るくらいでちょうどいいかな。


YouTubeにはけっこう「普通」の意味での水槽動画が上がっていて、各々が工夫をこらして美しい水槽を紹介している。

こういうを見るのも好きだけど、あの大がかりな設備と手間がどうしても気になってしまうときがある。


そうまでしないと生き物って飼えないものなのだろうか?


盆栽もそう。盆栽もすごく魅力的だと思うけど、水やり、剪定、針金かけ、施肥、植え替えなどの作業がある。

手間をかけるのが好きな人にはいいと思うけど、無精者の自分はそういうことを考えただけでぐったりしてしまう。


こういう発想は自然農にも通じるところがある。

なるべくラクをする。

それで出来た時間で他に好きなことをする。


人に過剰な労働を強いないですむ世界。

そんなことを夢想しているのである。

スロウ…ときにはげしく3X3」終わりました。


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(写真:吉田崇さん)

自分にとっては久しぶりのライブだったので、とにかくやれてよかった。

滋賀県は緊急事態宣言も出ていないくて、ライブ会場のバーも通常営業。京都から行くと何だか不思議な感じだった。

今回はケる子さん、Daryaさん、白井真優さんという3人のダンサーさんと、ベースの戸谷さん、パーカッション等の吉田さんとのセッション。

最近ずっと一人で家の中でこもって演奏してばかりだったけど、他の人と絡むといろいろと刺激があり、自分の中から引き出される部分があった。

あらためて人と関わることの重要さを感じた一日だった。


一人だとどうしてもワンパターンに陥りがちだよね…。


このメンツで、9月頃に伊賀の方でまたやろうかという話になっている。




あと、最近はYouTubeでの活動とダウンロード作品の制作を中心にやっています。


これは一番新しいアップロードで、もともとはYouTubeで行った即興ライブをちょっと編集したもの。

最近はこのRYM2612というFMシンセを主に使ってました。滋賀のライブもこれでやった。



ところで先日、いつものようにいろいろとシンセ動画を見ていたら、Metasynthという音楽制作ソフトについての動画があって、このソフトに強烈に一目惚れしてしまった。

しかしまさかとは思ったが、調べてみると案の定Mac専用のソフト…。

自分はずっとWindowsしか使ったことがないので、Winのものはないのか?とメーカーさんに問い合わせたところ、Win移行の計画はあったけど資金難とプログラマの離脱で現在頓挫しているとのこと。

しかし、現行のMacでなくて古めのOSでも動くらしくて、「中古のMacを探してみたら」とアドバイスをいただいた。

というわけでSNSで「中古のMacがほしい」とつぶやいていたところ…、


なんと「使ってないMacがあるよ」とお二方から声をかけていただきました。

早速、譲っていただけないかということで現在相談させてもらっています。


有難いね。やはり持つべきものは友達か…。


うまくいけば近々Metasynthのデモを使って試すことができるかも。わくわく。

というわけで、実現したらまたレポートしたいと思います。

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